- テクノロジーにより、食品包装に多く活用されている多層構造の軟質プラスチックを含め、あらゆる形態のプラスチックをリサイクルすることが可能に。
- ダウは、ミュラが2025年までに世界で100万トンのリサイクル能力を展開する計画を全面的に支援。
- ダウは、ミュラの英国ティーズサイドにおける画期的なリサイクル工場より、プラスチック廃棄物から生産されたリサイクル原料の供給を受け、世界中の大手ブランドに持続可能なプラスチック製品を供給。
- 今後、ミュラは世界展開の加速に伴い、米国、ドイツ、アジアに拠点を開設予定。
素材科学の世界的リーダーであるダウ(NYSE: DOW、本社:米国ミシガン州、会長兼CEO:ジム・フィッタリング)と高度なプラスチックリサイクルソリューションの世界的パイオニアであるミュラテクノロジー(Mura Technology)は、プラスチック廃棄物の環境への放出を防ぐことを目的とするパートナーシップを発表しました。
ミュラは、持続可能な循環型プラスチック経済を実現するための原料を生産するとともに、プラスチックや二酸化炭素の自然環境への放出を防ぐことを目的とした、HydroPRS™(熱水プラスチックリサイクルソリューション)と呼ばれる新しい高度リサイクルプロセスを急速に拡大しており、今回の連携はそれをサポートするものとなります。このたびの協
定は、プラスチックのサーキュラーエコノミー(循環型経済)を促進し、プラスチック廃棄物が環境に放出されるのを防ぐダウの取り組みにおける重要な段階となります。
パートナーシップを通じ、ダウの素材科学に関する知見、世界規模の事業展開、資金と、ミュラの最先端のテクノロジーを組み合わせることで循環型原料を生産し、それを消費者や世界的ブランドの間で需要が高まっている再生プラスチックに生まれ変わらせることが可能になります
ミュラ独自のソリューションであるHydroPRS™は、超臨界水を活用してプラスチックをその原料である化学品と石油に戻し、バージンプラスチックと同等の新しいプラスチック製品に使用するという画期的かつ高度なリサイクルプロセスです。HydroPRS™により、現時点ではリサイクルが困難で焼却されるか埋立地に送られることの多い、食品包装に使用される多層構造の軟質プラスチックを含め、あらゆる形態のプラスチックをリサイクルすることが可能となります。
重要な点は、このリサイクル原料を由来とするプラスチックが、従来のほとんどのリサイクルプロセスとは異なり、食品に接触する包装に対する適性が期待できることです。ミュラのプロセスでは、同じ材料をリサイクルできる回数に制限はないと考えられます。つまり、使い捨てプラスチックを大幅に削減し、循環型プラスチック経済を実現するための原料を生み出せる可能性があります。また、高度リサイクルプロセスでは、非再生プラスチックを焼却する場合と比べて、再生プラスチック1トン当たり約1.5トンのCO2を削減できる見込みです1。
ダウは、ミュラのソリューションが持続可能性と性能の両面において業界ニーズを満たすこと、およびHydroPRS™によって作られた製品を大規模に採用し新しいプラスチックを製造することが可能であることを証明し、世界的なプラスチックメーカーとして重要な役割を果たします。HydroPRS™を採用した初の工場は英国ティーズサイドにおいて建設
中であり、2022年には最初の年間2万トンのラインが稼働する予定です。4つのラインが完成すれば、ミュラは年間最大8万トンのプラスチック廃棄物をリサイクルできるようになり、その過程で作られた材料がダウに供給されます。ダウはこの再生材料を用いて、食品包装やその他の包装製品向けのバージングレードの新しいプラスチックを開発し、世界のサプライチェーンに還流することで、真の循環型プラスチック経済を実現します。
ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチック事業部プラスチックサーキュラリティ欧州・中東・アフリカ・アジア太平洋地域担当コマーシャルディレクターのカーステン・ラーセン(Carsten Larsen)は、次のように述べています。「この非常に革新的なリサイクルプロセスの開発を支援するために、投資と専門知識を提供できることをうれしく思います。私たちは、プラスチックを無駄にせず、サーキュラーエコノミーの実現に向けた動きを加速させるための真の変革を起こそうとしています。そして、その目標を達成するためには大規模なイノベーションと投資が必要であり、自分たちだけではそれを達成できないことを理解しています。だからこそ、ミュラとのパートナーシップが楽しみであり、当社の今後のリサイクル戦略を支える重要な柱になると確信しています」
ミュラテクノロジーのCEOであるスティーブ・マホン(Steve Mahon)博士は、次のように述べています。「プラスチックによる汚染が世界的な問題となる中、当社は、毎年数百万トンものプラスチック廃棄物を回収し、それらを世界の大手ブランドの貴重な資源として再び活用することにより、この問題に真正面から向き合うことを目指しています」
「私たちは、プラスチックは使用後に捨てるもの、という見方を、プラスチックは自然環境にダメージを与えることなく持続的に繰り返し使用できる製品である、となるように変えていきます。ダウとのパートナーシップにより、世界のブランドのためにそれが実現されるとともに、今後10年間で循環型プラスチック経済を世界で構築するための後押しとなるでしょう」
世界経済フォーラム2によると、プラスチック廃棄物という「失われた資源」は、最大で年間1,200億ドルの価値がある大きな経済的機会であるといわれています。また、プラスチック生産によって発生するCO2は、世界で年間3億9,000万トンに上ると推定されます3。これは、自動車1億7,200万台分以上に相当します4。現在、プラスチック生産は世界の石油消費量の約6パーセントを占めていますが、高度リサイクルを活用し、すべてのプラスチックをリサイクルすると同時に循環型プラスチック経済を構築するための原料を生み出すことが可能な技術により、化学業界における石油使用量を削減することができます。ミュラは、世界のプラスチック廃棄物とそれに関連するCO2排出量を大幅に削減できるという可能性を示しています。
世界のプラスチック廃棄物を削減するために、ミュラは迅速な世界展開に向けたビジネスモデルを策定し、パートナーの世界的なネットワークを構築しています。ダウは、米国に拠点を置く多国籍エンジニアリングサービス企業のKBR社、世界的なコンサルティングおよびエンジニアリング企業のウッド社(Wood)、工業用プラスチックの世界的リーダーであるイグス社(Igus GmbH)などの世界的な大手企業と共に、ミュラの技術の世界展開を加速させるためのパートナーに加わりました。ミュラのHydroPRS™プロセスは、その核として、オーストラリアのニューサウスウェールズ州に所在するライセラ・ホールディングス・リミテッド(Licella Holdings Limited)が開発、所有しているCat-HTR™技術を活用しています。
ミュラは、2025年までに世界で100万トンのリサイクル能力を開発することを目指しており、その迅速な世界展開の一環として、英国に設立する初の工場に加え、ドイツと米国、アジア市場にも開発機会を見出しています。ドイツと米国では、今後5年以内にリサイクル工場を新設する予定です。ダウとのパートナーシップは、その目標の達成に向けた大きな原動力となります。ミュラは、さらなる拡大を進めるための資金調達を続けており、さまざまな世界的投資家と協議を行っています。
今回発表されたパートナーシップは、画期的な高度リサイクル技術に対する機運を高め、プラスチック廃棄物の環境への放出を防ぐ革新的なイノベーションを促進するために、ダウがパートナーと共にどのような取り組みを行っているかを示す一例です。2019年にダウは、フューニクス(Fuenix)との間で、リサイクルされたプラスチック廃棄物から作られた原料の供給に関するパートナーシップを締結したことを発表しました。ダウは最近、気候変動とプラスチック廃棄
物に対応するためのサステナビリティ目標を発表しましたが、ミュラとのパートナーシップは、ダウがその達成に向けた取り組みをさらに一歩進めたことを示しています。
※本参考資料は、2021 年 4 月 22 日にダウが配信したリリース「Dow and Mura Technology announce partnership to scale game-changing new advanced recycling solution for plastics」の抄訳です。当資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。
ダウについて
ダウ(NYSE:DOW)は、業界で最も幅広い技術分野と設備統合、焦点が明確なイノベーションとグローバルなスケールを基に利益ある成長を実現します。素材科学の専門知識とパートナーとのコラボレーションを通じて、世界のためにサステナブルな未来を築くというパーパス(存在意義)の下、最もイノベーティブ、顧客本位、インクルーシブそしてサステナブルな素材科学会社です。ダウが擁する機能性素材、工業中間体およびプラスチック事業のポートフォリオは、包装やインフラ、モビリティ、コンシューマー・ケアなど成長著しい市場における顧客企業に向けて、差別化された技術に基づく幅広い製品やソリューションを提供します。世界 31 カ国で 106 カ所の製造拠点を操業し、従業員数は約 3 万 5700 人です。2020年度における純売上高は約 390 億ドルです。「ダウ」または「当社」は、ダウ社(Dow Inc)またはその関連会社を示しています。詳細な情報はウェブサイト www.dow.com またはツイッターアカウント@DowNewsroom をフォローくだ
さい。
お問い合わせ先
ダウ日本広報室 沢登(電話: 03 5460 6276 メール: rsawanobori@dow.com)
1 dependent analysis by CE Delft, the independent research and consultancy organisation specialised in developing
innovative solutions to environmental problems.
2 WEF – The New Plastics Economy: Rethinking the Future of Plastics
3 The Ellen McArthur Foundation – the New Plastics Economy: Catalysing Action
4ps://www.gov.uk/government/publications/new-car-carbon-dioxide-emissions