ダウとシェル、低炭素クラッカー共同技術開発の進展を発表

  • オランダ政府から350万ユーロの助成金を確保し、新たな提携を通じて電熱分解炉(クラッカー)技術を開発
  • 現時点までの進展に基づき、数メガワット規模のパイロットプラントの建設を審査中
ダウ(NYSE: DOW、本社:米国ミシガン州、会長兼CEO:ジム・フィッタリング)とシェルは、電熱分解炉の技術プログラムの進捗状況を発表しました。この発表は、2020年6月の共同開発契約の発表に続くものであり、化学産業の柱を成すプロセスの一つにおいて二酸化炭素(CO2)排出量を大幅に削減する可能性をもたらします。

両社は、オランダ政府が資金提供を行うMOOI(Mission-driven Research, Development and Innovation subsidy)スキームにおいて、本共同プログラムが350万ユーロ(420万米ドル)を獲得したことを発表しました。また、オランダ応用科学研究機構(The Netherlands Organisation for Applied Scientific Research -TNO)およびサステナブルプロセス技術研究所(Institute for Sustainable Process Technology -ISPT)との協働についても発表しました。この複数企業による協力は、短期的な進捗と長期的なブレークスルーにおいて必要となる、重要なマイルストーンの達成を加速することを目的としています。

初年度のプログラムでは、既存の熱分解炉の電化を目指すと同時に、長期的には電化された熱分解炉の新設計に用いる革新的な技術を追求しています。この2本立てのアプローチを通じて、両社の2030年のCO2削減目標を達成するために必要な大幅な排出削減、さらにはパリ協定に沿った両社の2050年までのネット・ゼロ排出目標の達成を目指します。オランダと米国の共同チームは、電気設計、金属学、炭化水素技術、計算流体力学などの専門知識を展開することにより、コンセプトの絞り込み、排出削減効果の実証、特許の推進、電気加熱構造の耐久性の実証、装置サプライヤーとの提携を行いました。

両社は現在、数メガワット規模のパイロットプラント建設の審査を行っており、投資支援を前提に、2025年の稼働を目指しています。

2つの新たな協力機関は、さらなる専門性と低炭素未来の実現に向けた共通の取り組みを行います。TNOは、高温伝熱応用に深い知見を持ち、産業規模で展開できる革新的な電気技術の特定において主導的な役割を果たしています。ロッテルダムにおける最先端のフィールド・ラボラトリー・インダストリアル・エレクトリフィケーション(Field Laboratory Industrial Electrification)の設立パートナーでもあります。ISPTは、推奨されるコンセプトのシステム統合に注力しています。これは、エネルギー転換期の化学品産業において、画期的な技術動向をユーティリティやインフラに結ぶ付けるものとなります。

ダウのオレフィン・アロマティクス・オルタナティブ事業担当バイスプレジデントのキース・クリーソン(Keith Cleason)は、次のように述べています。「多分野から集まった私たちのチームは強固な作業基盤を構築しており、数世代にわたる計画の初年度において、すでに相当な前進を遂げています。共同プログラムにISPTとTNOが加わったことをうれしく思います。両者は補完的な専門知識をもたらすとともに、可能な限り早く低炭素技術を実装するという意欲も共有しています」

シェルのグローバルケミカル事業担当エグゼティブバイスプレジデントのトーマス・カスパリ氏(Thomas Casparie)は、次のように述べています。「オランダ政府からの資金提供先に選ばれたことは、この共同電熱クラッキング計画初期の進展、そしてこの計画が化学品産業の変革を促す可能性となることに対する信頼の証です。この取り組みは、脱炭素化を加速するための真の企業間協力の事例であり、2つの新たなパートナーが加わったのは素晴らしいことです」

※本参考資料は、2021年6月17日にダウが配信したリリース「Dow and Shell demonstrate progress in joint technology development for lower CO2 emission crackers」の抄訳です。当資料の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語が優先されます。

シェルケミカルズについて

シェルのグローバルな化学事業は、人々の日用品の製造に使われる基礎・中間・機能化学製品をお客様に供給しています。これら最終製品は、生活、働くこと、ケアの提供、気候変動への対処など、社会の発展に貢献しています。世界的な化学製品の需要の高まりに合わせ、私たちはお客様のニーズを理解し、それを満たすことで自社事業の拡大を目指しています。当社の事業は、多角的かつ強じんです。市場での強固なポジション、総合的な世界規模の設備、先進技術を擁し、サステナブルな未来に向けて尽力しています。「シェル」、「シェルの化学品事業」、「シェルの化学プラント」という表現は、化学関連事業に携わるシェルグループ傘下の複数の企業を指しています。詳しくは、www.shell.com/chemicalsをご覧ください。

オランダ応用科学研究機構(The Netherlands Organisation for Applied Scientific Research -TNO)について

TNOは、企業の競争力や社会の健全性をサステナブルに強化するイノベーションを生み出すために、人と知識をつなげます。それが私たちのミッションであり、3400人を上回るTNOのプロフェッショナルたちが日々研究に取り組んでいます。私たちはパートナーとともにエネルギー転換を含む9つの研究分野に注力しています。2050年までにオランダをはじめ各国がCO2を排出しないエネルギーシステムを実現できるよう、産業界および政府とともにエネルギー転換の加速を目指しています。エネルギー転換の動きはオランダのビジネス界に、先導的な役割と革新的な製品を輸出する機会を創出し、また、世界規模のエネルギー転換に貢献する機会ももたらします。https://www.tno.nl/en/focus-areas/energy-transition/roadmaps/towards-co2-neutral-industry/

サステナブルプロセス技術研究所(Institute for Sustainable Process Technology -ISPT)について

サステナブルなプロセス産業なくして、循環型経済は成立しません。サステナブルプロセス産業は、残留フローや廃液流のリユース、エネルギー需要のシステム統合、フィードストックやエネルギー担体としての水素開発などにおける推進力であり、コネクターでもあります。ISPTは異なる事業セクターや専門領域のステークホルダーをオープンなイノベーションプラットフォームでつなぎ、2050年の循環型かつカーボンニュートラルなプロセス産業の実現に向けて、画期的なイノベーションに協力して取り組んでいます。https://ispt.eu/

ダウについて

ダウ(NYSE:DOW)は、業界で最も幅広い技術分野と設備統合、焦点が明確なイノベーションとグローバルなスケールを基に利益ある成長を実現します。素材科学の専門知識とパートナーとのコラボレーションを通じて、世界のためにサステナブルな未来を築くというパーパス(存在意義)の下、最もイノベーティブ、顧客本位、インクルーシブそしてサステナブルな素材科学会社です。ダウが擁する機能性素材、工業中間体およびプラスチック事業のポートフォリオは、包装やインフラ、モビリティ、コンシューマー・ケアなど成長著しい市場における顧客企業に向けて、差別化された技術に基づく幅広い製品やソリューションを提供します。世界31カ国で106カ所の製造拠点を操業し、従業員数は約3万5700人です。2020年度における純売上高は約390億ドルです。「ダウ」または「当社」は、ダウ社(Dow Inc)またはその関連会社を示しています。詳細な情報はウェブサイトwww.dow.com またはツイッターアカウント@DowNewsroom をフォローください。

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